モニタリングシステムのインテリジェント化の波が到来
モニタリングシステムは1942年にドイツで使用され始め、80年の歴史があります。閉回路テレビ(CCTV, Closed Circuit Television)は、特定のエリアから固定されたレコーダーに映像を伝送して再生するテレビシステムで、最も初期のモニタリングシステムアーキテクチャです。モニタリングシステムの応用は大きく以下の世代に分けられます。
アナログカメラ + ビデオテープに記録
フロントカメラが同軸ケーブルを介して映像をレコーダーに伝送し、映像をビデオテープ(BETA / VHS)に記録します。昔、ビデオデッキでテレビ番組を録画していたのと同じことです。このタイプの記録媒体は保管時に湿度の影響を受けやすく、長期間使用すると磁気テープが摩耗し、録画した映像の再生時に歪みやノイズが生じやすくなります。
アナログカメラ + ディスクに記録
アナログカメラはそのままで、レコーダーの部分がDVR (Digital Video Recorder) に進化しました。DVRは映像キャプチャの技術で、アナログの映像信号をデジタルの動画ファイルに変換し、ディスクに記録します。また、この世代の製品は以下の変化を遂げてきました。
- 画面のサイズがCIF / D1からアナログハイビジョン(CVI / TVI / AHD)に進化し、解像度も720P(HD)、1080P(FHD)から5M、8M(UHD、4K解像度)になりました。
- 映像圧縮技術がMJPEG、MPEG-1/2/4からH.264、H.265になりました。
- DVRからWEBからのリモートログインインターフェースが使用され始めました。
- DVRからスマホアプリでログインできるようになりました。
- DVRからAIコンピューティングアプリケーションの規格が搭載され始めました。
- DVRはハイブリッドに進化し、アナログカメラのほか、ネットワークカメラも接続できるようになりました。
ネットワークカメラ + ディスクまたはNASに記録
カメラ本体にネットワーク伝送機能が搭載されました。キャプチャした映像を圧縮し、映像をストリーミング方式でネットワークレコーダー (NVR, Network Video Recorder) に伝送または動画ファイルをNASの記録媒体にアップロードして記録します。DVRとNVRの主な違いは、NVRはネットワークケーブルだけですべてのネットワークカメラの映像を受信できますが、DVRは各カメラを同軸ケーブルでレコーダーに接続する必要があります。
ネットワークカメラ + クラウドに記録 + クラウドサービス
業務用のモニタリング製品ラインナップ以外に家庭用モニタリング製品(コンシューマ製品)もあります。防塵・防爆等級が特に強化されていないハードウェア規格で、ソフトウェアも主にスマホアプリとなっています。カメラ本体のSDメモリーカードのほか、映像をクラウドにアップロードして記録・再生できます。クラウドの容量やその他の付加価値サービスは、サブスクリプションによって選択できます。一歩進んだ応用として、インターネットプロトコルを介してカメラをさまざまな周辺機器と統合することで、スマートホーム(IFTTT/Amazon Alexa/Google Assistant /Apple HomeKitなど)の環境を構築できます。
アナログ製品は価格面での優位性を保っているものの、アナログシステムのデジタル化は必然的な流れとなっており、インテリジェント化の波の到来により、インターネットを介した関連サービスのサブスクリプション化が進んでいます。製品の世代交代やサービスの進化が世界的な流れとなっており、その波に乗ることが企業経営の追い風となります。